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犬や猫の目が赤い・腫れている…それ、腫瘍のサインかも?|見逃したくない早期症状と治療法2025.06.11

犬や猫の目に起こる異変は、年齢や犬種・猫種に関係なく、どのような場合でも起こる可能性があります。
その中でも特に注意したいのが、「眼球腫瘍」と呼ばれる目の中や周囲にできる腫瘍です。

今回は、犬や猫の眼にできる腫瘍について、飼い主様が知っておきたい基礎知識から、日常の中で気づけるサイン、そして治療の選択肢を解説します。

■目次
1.犬や猫の目にできる腫瘍とは?
2.犬や猫によく見られる目の腫瘍の種類
3.こんな変化は要注意!眼の腫瘍のサイン
4.眼の腫瘍の診断方法
5.治療方法
6.手術後も安心して過ごすためにできること
7.まとめ

 

【犬や猫の目にできる腫瘍とは?】

「眼の腫瘍」とは、眼球そのもの、またはその周囲(まぶたや結膜など)にできる、異常に増殖した細胞によって形成される組織を指します。
腫瘍には大きく分けて、「良性腫瘍」と「悪性腫瘍(がん)」の2種類があります。

良性腫瘍は成長がゆっくりで、他の部位へ転移する心配はほとんどありません。ただし、「視界が狭くなる」「物が見えにくくなる」などの視覚障害や、痛みや違和感の原因になるため、必要に応じて治療がすすめられます。

一方で悪性腫瘍、つまり「目のがん」は、周囲の組織を壊したり、体の別の部位に転移したりする恐れがあるため、早い段階での発見と、適切かつ迅速な治療がとても重要になります。

 

<犬や猫の目に腫瘍ができる原因ときっかけ>
犬や猫の眼に腫瘍ができるリスクは、年齢とともに高まる傾向があります。しかし、加齢だけでなく、遺伝的な要因や紫外線の影響、そして慢性的な眼の炎症などがきっかけになることもあります。

特に、白い被毛や皮膚を持っている犬や猫、また外に出る時間が長い場合には、紫外線の影響を受けやすいため注意が必要です。

 

【犬や猫によく見られる目の腫瘍の種類】

<犬に多い腫瘍>
マイボーム腺腫(まぶたにできる良性の腫瘍)
黒色腫(メラノーマ)
虹彩メラノーマ

 

<猫に多い腫瘍>
扁平上皮がん(まぶたや結膜にできる悪性腫瘍)
リンパ腫(全身性のがんが眼に現れることがあります)
虹彩メラノーマ

腫瘍は、見た目だけでは良性か悪性かを判断することができません。そのため、眼に気になる異変が見られた場合は、早めに動物病院で検査を受けることが大切です。

 

【こんな変化は要注意!眼の腫瘍のサイン】

眼の腫瘍は、初期の段階では目立った症状が見られないこともあります。しかし、進行するにつれて、次のような変化が現れることがあります。

・目が赤くなる、充血している
・しこりが見える、または触れる
・白目の部分が腫れている
・瞳の色が変わってきた
・涙や目やにの量が増えた
・目を細める、痛がるようなしぐさを見せる
・見えていないような動きをする、物にぶつかることが増えた

 

<日常の中でできる目の健康チェック>
眼の異常を早く見つけるために、以下のようなポイントを意識しながら日々のふれあいの中でチェックしてみてください。

・両目を見比べて、左右で大きさや見た目に違いはないか?
・いつもと違う目やにが出ていないか?
・まぶたや白目に腫れ、赤み、しこりなどの異変はないか?

 

【眼の腫瘍の診断方法】

眼に腫瘍が疑われる場合、動物病院ではまず視診や触診を行った上で、必要に応じてさまざまな専門的な検査を組み合わせながら、正確な診断を行います。

スリットランプ検査
細隙灯顕微鏡検査とも言われ、細い光(スリット光)を目に当てて角膜や水晶体・硝子体などを拡大して細部まで観察する検査です

 

眼底検査(倒像鏡検査)
眼の奥(眼底)に異常がないかを確認する検査です。視神経や網膜への影響もチェックします。

 

レントゲン検査
胸部や腹部など、眼以外の臓器に腫瘍が発生・転移していないかを確認します。

 

超音波検査
眼球の内部構造を詳しく見ることができ、内部に腫瘍が広がっていないかを調べる際に用いられます。

 

CT検査・MRI検査
腫瘍の大きさや広がり、周囲の組織への影響をより詳しく調べるために行われます。特に手術の判断材料として重要な検査です。

 

血液検査
全身の健康状態を把握し、腫瘍が体の他の部位に影響を及ぼしていないかを確認します。

 

細胞診
腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で細胞の形や性質を調べます。良性か悪性かを見分ける手がかりとなります。

特に、悪性腫瘍の可能性がある場合には、腫瘍が他の臓器に転移していないかどうかを調べることが非常に重要です。

 

【治療方法】

治療方法は、腫瘍の種類や進行の程度、年齢、全身の健康状態などによって異なります。

外科的切除(手術)
もっとも一般的な治療法で、腫瘍を切除する方法です。まぶたや結膜など、腫瘍が外から確認できる場所にできた場合に選択されることが多くなります。

メリット:腫瘍を物理的に取り除ける可能性が高く、再発のリスクを抑えられます。
デメリット:全身麻酔が必要であり、手術部位や状態によっては視力への影響が出ることがあります。

 

眼球摘出術
眼球の内部に悪性腫瘍がある場合や、すでに視力が失われている場合に行われることがあります。

メリット:腫瘍を完全に除去することで、再発や転移のリスクを大きく下げることができます。
デメリット:片目を失うことによる外見の変化や、飼い主様の心理的負担が考えられます。

眼科手術後の自宅ケアについてはこちらで解説しています

 

放射線治療
主に悪性腫瘍に対して行われ、腫瘍細胞の破壊や成長を抑えることを目的とします。全身状態が安定していれば、手術の代替として用いられることもあります。

メリット:腫瘍の進行を抑えながら、視力を保てる可能性があります。
デメリット:通院回数が多くなり、また設備の整った施設でしか受けられず、費用が高額になることがあります。

 

化学療法(抗がん剤治療)
リンパ腫など、全身に広がりやすい腫瘍に対して用いられます。単独で使用される場合もあれば、手術や放射線治療と併用されることもあります。

メリット:腫瘍の進行を抑え、症状を和らげる効果が期待できます。
デメリット:副作用が出ることがあり、定期的な通院や体調管理が必要になります。

 

治療にはいくつかの選択肢があり、「これが正解」というものは一つではありません。
愛犬・愛猫の年齢や性格、腫瘍の性質、そしてこれからどのような生活を送ってほしいか、そうしたさまざまな要素を一緒に考えながら、獣医師と相談して治療方針を決めていくことが大切です。

 

【手術後も安心して過ごすためにできること】

治療が終わったあとも、術後のケアや、愛犬・愛猫の心と体のサポートはとても大切です。

<手術後のケア>
眼の手術後はしばらくの間、点眼薬や内服薬で炎症や感染を防ぐ必要があります。また、傷口を引っかかないように、エリザベスカラーを装着することもあります。

 

<眼球摘出後、生活で気をつけたいこと>
眼球摘出を受けた際、多くの飼い主様が「この先、普段通りの生活ができるのだろうか」と不安を感じられるかもしれません。

しかし、犬や猫は視覚以外の感覚、特に嗅覚や聴覚が非常に優れており、片目がなくなっても驚くほど順応していきます
段差の多い場所にはクッションを置く、家具の配置を変えないようにするなど、少しの工夫で落ち着いた日常を取り戻すことができます。

 

<再発や変化に気づくために大切な「定期健診」>
手術が無事に終わっても、再発や転移の可能性がまったくないわけではありません。特に悪性腫瘍だった場合には、術後の定期健診が非常に重要です。
目安としては、3か月ごとや半年ごとに診察や画像検査を受けることがすすめられています。

 

【まとめ】

犬や猫の眼にできる腫瘍は初期のうちは症状に気づきにくく、見逃されてしまうこともあり、進行すると視力の低下や、命に関わる病気につながることもあります。
しかし、早い段階で発見できれば、視力を保てることもあり、適切な治療につなげることで命を守ることも十分に可能です。

目の赤みや腫れ、涙の量が増えるなど、日常の中のちょっとした変化に気づいてあげることが、病気の早期発見や予防につながります。

眼に関して少しでも気になることやご不安がありましたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

 

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犬と猫が目の疾患にかかった場合の検査方法
犬の眼瞼腫瘍について|良性が多いが20%は悪性

 

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