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フィラリア予防はいつからいつまで?|犬の命を守る正しい時期と薬の選び方2025.06.09

気温が上がり、蚊が飛び始める季節になると、愛犬のフィラリア予防について気になってくる飼い主様も多いのではないでしょうか。
とはいえ「予防はいつから始めればいいの?」「うっかり忘れてしまったらどうなるの?」といった疑問や不安をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊を媒介して感染する寄生虫の病気です。感染が進行すると心臓や肺に深刻なダメージを与え、命に関わることもあります。
しかし、正しい時期にきちんと予防を行えば、ほぼ100%防ぐことができる病気でもあります。

今回は、フィラリア症の基本的な情報から予防を始めるタイミング、予防薬の種類と選び方を解説します。

■目次
1.フィラリア症とはどんな病気?
2.フィラリア予防はいつから始めて、いつまで続けるべき?
3.フィラリア予防薬の種類と選び方
4.予防を始める前に知っておきたい大切なこと
5.まとめ

 

【フィラリア症とはどんな病気?】

フィラリア症(正式には「犬糸状虫症」)は、蚊を介してうつる感染症です。
蚊がフィラリアの幼虫を体内に持っている場合、その蚊に刺されることで幼虫が犬の皮膚から体内へと侵入します。
そして、体内に入った幼虫は数か月かけて成長し、やがて心臓や肺の血管に寄生します。
すると、血液の流れが妨げられ、心不全呼吸困難といった深刻な症状を引き起こすことがあります。

さらに怖いのは、この病気が初期の段階ではほとんど症状が現れないという点です。
外見上は元気に見えていても実は体の中では病気が静かに進行しているケースもあり、気づいたときにはすでに治療が難しい段階になっていることもあるのです。
だからこそ、事前の予防こそが、何よりも大切な対策だと言えるのです。

 

【フィラリア予防はいつから始めて、いつまで続けるべき?】

フィラリアの感染リスクが高まるのは、「蚊が活動している期間」です。
日本では地域差はありますが、多くの地域では5月から12月頃までが予防の目安とされています。

大切なのは「蚊が飛び始める前」や「いなくなった後」ではなく、「感染のリスクがあった日から1か月後まで予防を継続する」ということです。
フィラリア予防薬は、体内に入ってきた幼虫が成長する前に駆除する仕組みになっており、1回の投薬で過去1か月分の感染リスクを取り除くというイメージです。

また、子犬の場合は生後8週齢を過ぎた頃から予防が可能になることが多いですが、始める前にはまず動物病院で血液検査を受けることが大切です。
すでにフィラリアに感染している状態で予防薬を使ってしまうと、体に負担をかけてしまうことがあるためです。

さらに最近では、暖かい日が増えたり蚊の活動期間が長引いたりして、1年中感染のリスクがあると考えられるため、一年を通して予防を行う「通年予防」を選ばれる飼い主様も増えています。
通年での予防には安心感があり、獣医師としてもおすすめできる方法です。

 

【フィラリア予防薬の種類と選び方】

現在、フィラリア予防薬にはいくつかのタイプがあり、それぞれの特徴や使い方が異なります。
愛犬の体質や性格、日々の暮らし方によって向いているタイプは変わってきますので、特徴を知っておくと安心です。

チュアブル錠(味つきタイプ)
お肉の風味などがついた、おやつ感覚で与えるタイプです。
薬の味が苦手な犬でも比較的受け入れやすく、飲ませやすい形状です。

 

スポットオン(滴下タイプ)
首の後ろなど、皮膚に直接垂らして使用するタイプです。
飲み薬が苦手な犬や、口に入れることに抵抗がある場合にも使いやすい方法です。
飼い主様がご自宅で簡単に使用できるのも安心のポイントです。

 

注射タイプ(1年に1回)
動物病院で接種するタイプで、1回の注射で約1年間効果が持続する製品もあります。
毎月の投薬が難しい場合や、多頭飼育されている場合などに選ばれることが多くなっています。

どのタイプが合っているかは、愛犬の体調や性格、生活環境などによって異なります。
迷ったときには、かかりつけの動物病院で獣医師と相談しながら、最適な方法を一緒に考えていきましょう。

 

【予防を始める前に知っておきたい大切なこと】

予防薬を使う前には「血液検査」が必要です
フィラリア予防を始める前には、動物病院で血液検査を受けることがとても大切です。
というのも、もしすでにフィラリア(犬糸状虫)が体内に寄生している状態で予防薬を使ってしまうと、寄生虫の死骸が血管を詰まらせてしまい、重いアレルギー反応やショック症状を引き起こすことがあるためです。

特に、前の年に予防が途中で途切れてしまった場合や、保護された犬で過去の予防歴がわからない場合は、この検査が愛犬の命を守る大切なステップになります。

検査は数分で終わるシンプルな血液検査ですので、予防を始める前のタイミングで動物病院へ相談してみてください。

 

投薬を忘れてしまったときは、自己判断しない
「うっかり1か月忘れてしまった」「気づいたら数か月空いていた」そんなことも、日々の忙しさの中では起こりうるものです。

しかし、そのまま自己判断で予防を再開するのは危険です。
月に1回の予防薬は、「過去1か月以内に体内に入ったフィラリアの幼虫」を駆除する仕組みになっています。
投与の間隔が空いてしまうとフィラリアがすでに成長を始めている可能性があるため、その状態で予防薬を使ってしまうと、体に大きな負担がかかることがあります。

もし投薬を忘れてしまったらすぐに動物病院に相談し、必要に応じて血液検査を行い、適切な対応をとることが大切です。

 

予防を怠ってしまうとどうなるの?
フィラリアは、一度体に入ってしまうと心臓や肺の血管に寄生し、命に関わる深刻な病気へと進行します。
感染が進んだ場合には、外科手術で成虫を取り除く体に大きな負担のかかる治療が必要になることもあります。

月に1回の予防薬は、数百円〜数千円ほどで行える安全な方法ですが、万が一感染してしまった場合は、治療費や通院回数が多くなるだけでなく、愛犬の体にも大きな負担がかかってしまいます。

心臓病についてはこちらで解説しています

 

フィラリアが進行したときに現れる症状
フィラリアの初期感染では、ほとんど症状が出ません。
そのため、飼い主様が異変に気づきにくく、予防の必要性を見逃してしまうこともあります。
しかし、感染が進むと、以下のような症状が見られるようになります。

・元気がなくなる、散歩で疲れやすくなる
・咳が出るようになる
・呼吸が浅く、苦しそうに見える
・食欲が落ちる、体重が減る
・お腹がふくらんでくる(腹水)
・重い場合は、失神や突然死を招くこともあります

ここまで進行してしまうと治療の選択肢は限られてしまいますが、月に1回のお薬を忘れずに続けていけば、こうしたリスクはしっかりと防ぐことができます

 

【まとめ】

フィラリア症は、「予防すること」こそが最大の治療と言われています。
症状が現れたときには、すでに病気がかなり進行しているケースも少なくないため、季節に合わせて正しい時期に確実な予防を続けていくことがとても大切です。

予防を始めるタイミングや、お薬の種類について不安や疑問がある場合は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

今年もフィラリア予防の季節がやってきます。
早めの準備で、安心して過ごせる1年を一緒にスタートさせましょう。

 

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犬や猫のノミ・マダニ対策、いつから始める?|予防のベストタイミングと感染症のリスク

 

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