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犬や猫の眼瞼内反症に注意|まぶたが内側に巻き込む病気2025.06.11

愛犬や愛猫が目を細めたり、涙が出続けていたりと、片方の目ばかりつらそうに見えるというご相談をいただくことがあります。

その原因のひとつが、眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)です。
これは、まぶたが内側に巻き込まれ、まつ毛や皮膚が角膜を刺激してしまう病気で、その刺激により、涙や目やに、痛みなどの症状があらわれます。

今回は、眼瞼内反症について、原因や症状、治療法などをわかりやすく解説していきます。

■目次
1.眼瞼内反症とは?
2.眼瞼内反症の主な症状
3.眼瞼内反症が引き起こす合併症
4.診断方法と検査
5.治療法
6.まとめ

 

【眼瞼内反症とは?】

眼瞼内反症とは、まぶたが本来の外向きの状態から内側に巻き込まれてしまう病気です。
その結果、まぶたの毛や皮膚が角膜(目の表面)に当たり、目が常に刺激される状態になります。
この刺激によって、涙が増えたり、目を細めたりする防御反応が起こります。放っておくと角膜に傷がつき、視力に影響する恐れもあるため注意が必要です。

眼瞼内反症には、大きく分けて2つのタイプがあります。

先天性眼瞼内反症
生まれつきまぶたの構造に問題があり、成長とともに症状が目立ってくるタイプです。

 

後天性眼瞼内反症
外傷や炎症、手術後の瘢痕(きずあと)、加齢によるたるみなどが原因で、まぶたが内側に引っ張られてしまうタイプです。

 

眼瞼内反症は、特に犬で多く見られまが、猫でも起こることがあります。

<発症しやすい犬種の例>
・シャーペイ(顔の皮膚がたるんでいる)
・チャウチャウ
・ブルドッグ
・シーズー
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
・ゴールデン・レトリーバー(特に若齢期)
柴犬(特に老齢期)

 

<発症しやすい猫種の例>
・ペルシャ
・ヒマラヤン

いずれも短頭種と呼ばれる、顔の平たいタイプの猫種に見られるほか、外傷や炎症などをきっかけに後天的に発症することもあります。

 

【眼瞼内反症の主な症状】

以下のようなサインが見られたら、眼瞼内反症の可能性があります。

・涙が止まらない(流涙症)
・頻繁に目をこする、顔を床や物にこすりつける
・目を細めている、しょぼしょぼする
・目やにが増える
・まぶたや目の周りが赤く腫れている

 

<外見上の特徴>
眼瞼内反症では、まぶたの縁が内側にくるりと巻き込まれたような見た目になります。
よく観察すると、まつ毛や毛が目の表面に触れている様子が確認できることもあります。

状態が進むと、角膜に刺激が加わり続けることで、角膜炎や角膜潰瘍を引き起こす場合もあり、強い痛みや視力低下につながるリスクがあるため注意が必要です。

 

【眼瞼内反症が引き起こす合併症】

眼瞼内反症を放置すると、角膜(目の表面)がまつ毛や皮膚に慢性的に刺激され続けることになります。
その結果、次のような合併症を引き起こす恐れがあります。

角膜炎・角膜潰瘍
目の表面がただれて炎症を起こす状態で、強い痛みや違和感を伴います。

角膜潰瘍についてはこちらで解説しています

 

慢性的な結膜炎
白目が充血し、目やにが増えます。

 

視力低下・視覚障害
炎症が長引くと、視力に影響が出る可能性もあります。

 

眼球穿孔(がんきゅうせんこう)
角膜潰瘍が悪化し、角膜に穴があいてしまう重篤な状態です。この場合、緊急手術が必要になることもあります。

こうした合併症を防ぐためにも、早めの診断と適切な処置がとても重要です。

 

【診断方法と検査】

診断では、まぶたの状態や目の健康状態を丁寧に観察・確認することが基本になります。
視診(見た目)や触診に加え、必要に応じていくつかの眼科検査を行い、重症度や合併症の有無を判断します。

視診・触診
まぶたの内反の程度、両目か片目か、まつ毛の生え方などを確認します。

 

フルオレセイン染色検査
角膜に傷(潰瘍や炎症)がないかを調べるために、専用の染色液を用いて目の表面をチェックします。

 

涙液量検査(シルマーテスト)
ドライアイなど、他の目の病気が併発していないかを確認します。

ドライアイについてはこちらで解説しています

 

眼圧測定・眼底検査
特に高齢の犬や猫では、緑内障や網膜の異常など他の眼疾患の有無も一緒に確認します。

緑内障についてはこちらで解説しています

 

これらの情報をもとに、眼瞼内反症がどの程度進んでいるか、外科的治療が必要かどうかを判断していきます。

<飼い主様にお願いしたい観察ポイント>
診察の際、日常生活での変化や気になる点を教えていただけると、より正確な診断につながります。

・いつから目を気にしはじめたか
・症状は左右どちらに出ているか(両目か片目か)
・涙の量や目やにの色・量の変化
・目をかいたり、顔をこすったりする様子があるか
・食欲や元気に変化はあるか
・すでに点眼薬や内服薬などの治療をしているか

ちょっとした情報でも、診断の大きなヒントになります。「なんとなく気になるな」と感じたことがあれば、遠慮なくお話しください。

 

【治療法】

治療は、症状の重さや年齢、まぶたの構造的な問題などを総合的に判断し、それぞれに最適な方法を選びます。

<軽度の場合| 点眼薬や一時的な保護処置>
症状が軽度であれば、炎症を抑える点眼薬や抗生剤の使用など、対症療法で様子を見ていくことも可能です。
特に子犬や子猫の場合は、成長とともに自然に改善するケースもあります。
また、動物用のコンタクトレンズを用いることで一時的に角膜をまつげの刺激から守ることで改善につながるケースもあります。

メリット: 体への負担が少なく、自宅でケアが可能です
デメリット: まぶたの内反そのものを治すわけではありません

 

<中等度〜重度の場合|外科手術による根本治療>
まぶたがはっきりと内側に巻き込み、角膜への刺激が続いているような場合には、外科的な手術が必要になります。
手術では、皮膚の一部を切除してまぶたの向きを外向きに整えることで、まつ毛や皮膚が角膜に当たらないようにします。

メリット: 根本からの改善が可能で、再発のリスクも大きく減らせます
デメリット: 全身麻酔が必要で、術後のケアが必要になります

術後は、通常1〜2週間ほどで抜糸を行い、その後も経過観察を続けます。
しっかりとケアを行えば、目の痛みが改善され、視覚の維持や生活の質の向上が期待できます。

手術後の自宅ケアについてはこちらで解説しています

 

【まとめ】

眼瞼内反症は、そのままにしておくと角膜潰瘍や視力の低下といった合併症を招くこともありますが、早めに診断と治療を行えば、目の状態をしっかりと改善できる可能性が高い病気でもあります。

「最近、目やにや涙の量が気になる」「片目ばかり気にしている」など、気になる様子が見られたときは、どうぞお気軽に当院までご相談ください。

 

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