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犬と猫の水晶体脱臼について|視力の低下や痛みを引き起こす2024.07.15

水晶体脱臼とは、犬や猫の目の中にある水晶体が本来の位置からずれてしまう状態を指します。水晶体は目の中で光を屈折させて網膜に焦点を合わせる、大切な役割を果たしています。この水晶体が脱臼すると、視力が落ち、痛みや炎症を引き起こすことがあります。

 

今回は、犬と猫の水晶体脱臼の原因や症状、診断方法、治療方法、そして予防策について詳しくご紹介します。

 

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

【原因】

水晶体は、目の中でカメラのレンズのようにピントを合わせるための大切な役割を持っています。通常は「チン小帯」という繊維組織に支えられていますが、このチン小帯が緩んだり断裂したりすると水晶体がずれてしまい、水晶体脱臼が発生します。

 

犬と猫の水晶体脱臼の原因には以下のようなものがあります。

 

遺伝的要因

特定の犬種や猫種では、生まれつきチン小帯が弱いために水晶体脱臼が起こりやすいと言われています。特にテリア種、ミニチュア・シュナウザー、プードル、イタリアン・グレーハウンドなどの犬種や、一部の猫種にこの傾向があります。

 

・外傷や他の目の病気

外傷による眼球への強い衝撃や、白内障、緑内障、ぶどう膜炎など、他の眼疾患が原因でチン小帯が損傷し、水晶体脱臼が引き起こされることがあります。これは、どの犬種や猫種にも起こり得る状態です。

 

白内障についてはこちらで解説しています

緑内障についてはこちらで解説しています

 

【症状】

水晶体脱臼には、「前方脱臼」と「後方脱臼」という2つのタイプがあり、それぞれで症状の重さが異なります。

 

<前方脱臼>

前方脱臼では、水晶体が前方にずれることにより、強い痛みを伴うことが多くあります。これにより、角膜浮腫や緑内障が引き起こされることもあります。

 

<後方脱臼>

後方脱臼では、水晶体が後方へ移動します。この場合、前方脱臼と比べて症状は軽めですが、それでも網膜剥離や眼内出血が起こる可能性があります。

 

愛犬や愛猫が目を気にしている、目を細めている、目が充血している、黒目が白く濁っているなどの症状を見つけた場合には、速やかに動物病院を受診することが重要です。放置してしまうと、視力の低下や最悪の場合、失明につながる恐れがあります。

 

【診断方法】

水晶体脱臼の診断には、いくつかの検査を総合的に行うことが重要です。以下のような検査方法があります。

 

スリットランプ検査

細長い光を目に当てて、水晶体の位置や眼球内の構造を観察する検査です。水晶体が正しい位置にあるかどうかを確認します。

 

眼圧検査

眼圧計を使用して眼圧を測定します。水晶体脱臼があると眼圧が異常に高くなることがあるため、この検査は重要です。

 

超音波検査

超音波を使って目の内部を詳しく観察します。脱臼した水晶体の位置や、他の眼疾患の有無を確認することができます。

 

眼科検査についてはこちらで詳しく解説しています

 

【治療方法】

治療方法は、前方脱臼と後方脱臼でそれぞれ異なります。

 

<前方脱臼の治療>

前方脱臼の場合、角膜浮腫や緑内障などの続発症を防ぐために、基本的には手術によって水晶体を摘出します。

 

<後方脱臼の治療>

後方脱臼の場合、多くの場合は経過観察が行われます。ただし、水晶体が前方に移動しないように、縮瞳作用のある点眼薬を使用することがあります。また、痛みを感じている場合には鎮痛剤を使用し、他の眼疾患が併発している場合には、それらに対する治療も同時に行います。

 

【予防法やご家庭での注意点】

水晶体脱臼を完全に予防する方法は残念ながらありませんが、問題を早期に発見し対処することこそが、愛犬や愛猫の目の健康を守る鍵となります。日頃から愛犬や愛猫の目の様子を注意深く観察し、いつもと違う兆候を見逃さないようにしましょう。

 

特に、水晶体脱臼のリスクが高いとされる犬種や猫種においては、定期的な眼科検査が非常に重要です。

 

【まとめ】

水晶体脱臼は、早期の発見と適切な治療により、視力の低下を防ぐことが可能です。しかし、発見や治療が遅れてしまうと他の眼疾患を引き起こす可能性があります。

目の充血や黒目の白濁、痛がる様子が見られた場合にはすぐに動物病院を受診しましょう。

 

■当院の眼科に関連する病気はこちらで解説しています。

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