くまちゃん動物病院 これからもずっとサポート。
愛犬や愛猫が元気に遊ぶ姿を見るのは、飼い主にとって本当に幸せなひとときですよね。でも、その可愛らしい行動が時には思わぬトラブルを招くこともあります。それが「誤食」や「異物誤飲」といった問題です。
これは、犬や猫が本来食べるべきでないものを誤って飲み込んでしまうことを指し、多くの飼い主様が一度は経験するかもしれない問題です。
誤飲誤食をしてしまうと、軽い消化不良から深刻な内臓損傷まで、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。
今回は特に注意が必要な食材や異物、有害な植物について詳しくお伝えします。また、もし愛犬や愛猫が誤食してしまった場合の症状や対処法、そして動物病院での処置についてもご紹介します。
■目次
1.犬や猫にとって毒性の強い食材
2.犬や猫にとって危険な異物
3.犬や猫にとって毒性の強い植物
4.誤飲誤食をした場合の症状
5.誤飲誤食をした場合の対処法
6.動物病院で行う処置
7.ご家庭で日常で気を付けること
8.まとめ
人間の食べ物が犬や猫にとっては非常に危険なこともあり、これらの食材を誤って食べてしまうと重大な健康問題を引き起こすことがあるため注意が必要です。
犬や猫に毒性の強い食べ物は以下の通りです。
・ネギ類
タマネギ、長ネギ、ニラ、ニンニクなどのネギ類は、犬や猫にとって非常に危険です。これらを食べてしまうと赤血球が破壊され、重度の貧血を引き起こすことがあります。特にタマネギ中毒は命に関わることがあるため、絶対に与えないでください。スープやドレッシングに含まれるわずかな量でも危険ですので、注意が必要です。
・チョコレート
チョコレートにはテオブロミンという成分が含まれており、犬や猫には非常に毒性があります。摂取すると、嘔吐や下痢、さらには心臓の問題や痙攣を引き起こすことがあります。特にダークチョコレートやベイキングチョコレートはテオブロミンの含有量が高く、非常に危険です。
・ぶどう、レーズン
ぶどうやレーズンは、急性腎不全を引き起こすことが知られています。少量でも中毒を引き起こし、重篤な症状を引き起こすことがあるため、絶対に与えないでください。
・アボカド
アボカドにはペルシンという成分が含まれており、犬や猫にとって有害です。摂取すると、嘔吐や下痢、さらに心臓や肺の問題を引き起こすことがあります。果肉だけでなく、種や葉も危険です。
・キシリトール
キシリトールは人工甘味料で、多くのガムやキャンディ、ベイクドグッズに含まれています。摂取すると、急激なインスリンの分泌を引き起こし、低血糖症状を引き起こします。重度の場合、肝不全や命に関わることもあります。
・アルコール
アルコールは少量でも中毒症状を引き起こすことがあります。摂取すると、嘔吐や下痢、さらには呼吸困難や昏睡状態に陥ることがあります。
・魚介類
生のイカ、タコ、エビ、カニ、貝類などの魚介類は、消化不良やアレルギー反応を引き起こす可能性があります。特に貝類は寄生虫や細菌を含むことがあるため、生で与えることは避けてください。
犬や猫は好奇心旺盛で、家の中のさまざまなものに興味を示します。しかし、日常生活で目にするものの中には、愛犬や愛猫にとって非常に危険なものがたくさんあります。
特に注意が必要なものは以下の通りです
・尖ったもの
骨、竹串、針などの尖ったものは、誤って飲み込むと消化管を傷つけ、内臓損傷を引き起こすことがあります。これらの異物が心臓などの重要な臓器を刺すと、命に関わることもありますので、絶対に触れさせないように注意してください。
・紐状のもの
紐、リボン、毛糸などの紐状のものは、誤って飲み込むと腸が引っ張られて破れることがあります。特に、肛門から紐が出ている場合、絶対に引っ張らないようにしてください。無理に引っ張ると内臓に深刻なダメージを与えることがあります。
・小物
小さなボール、電池、アクセサリー、ボタン、糸、ヘアゴムなどの小物は、誤って飲み込むと腸閉塞を引き起こすことがあります。特に電池は、飲み込むと放電の影響や化学物質が漏れ出して消化管を損傷させるため、非常に危険です。
・ビニール
ビニール袋やラップは、誤って飲み込むと窒息や腸閉塞を引き起こす可能性があります。特にビニール袋は、愛犬や愛猫が遊んでいる最中に頭に被ってしまい、窒息する危険性もあるため、取り扱いに注意しましょう。
・タバコ
タバコにはニコチンが含まれており、非常に有害です。誤って飲み込むと、嘔吐、下痢、興奮、呼吸困難などの中毒症状を引き起こすことがあります。タバコやタバコの吸殻は、常に愛犬や愛猫の手の届かない場所に保管してください。
・洗剤や薬品
家庭用の洗剤や薬品は、誤って飲み込むと中毒症状を引き起こすことがあります。特に液体洗剤やカプセル型の洗剤は破裂すると内容物が飛び散り、皮膚や目に付着するだけでも危険です。また、薬品も犬や猫にとっては毒性が強いため、必ず安全な場所に保管しましょう。
お部屋や庭を彩る植物は、私たちの生活に潤いを与えてくれますが、愛犬や愛猫にとっては危険な存在になることがあります。特定の植物は、犬や猫に対して非常に毒性が強く、誤って摂取してしまうと深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
以下に、犬や猫にとって特に毒性が強い植物を紹介します。
・ユリ科の植物
ユリ、チューリップ、ヒヤシンスなどのユリ科の植物は、猫に非常に強い毒性を持ちます。これらの植物の花や葉を摂取するだけでなく、花瓶の水を飲んだだけでも命に関わることがあります。特に猫を飼っている家庭では、ユリ科の植物を飾らないように注意が必要です。
・スイセン
スイセンは、犬や猫にとって有毒な植物の一つです。摂取すると嘔吐、下痢、腹痛、さらには心拍数の異常や痙攣を引き起こすことがあります。球根部分が特に危険です。
・ポインセチア
クリスマスシーズンに人気のあるポインセチアも、犬や猫にとって有毒です。摂取すると、口内や胃腸に炎症を引き起こし、嘔吐やよだれの過多を引き起こします。多量に摂取すると、より深刻な症状が現れることがあります。
・モンステラ
観葉植物として人気のモンステラは、誤って摂取すると口内や喉に激しい炎症を引き起こし、よだれ、嘔吐、嚥下困難を引き起こすことがあります。特に葉や茎が危険です。
・アイビー
アイビーは、美しい葉が特徴の観葉植物ですが、犬や猫にとっては毒性があり、摂取すると嘔吐、下痢、腹痛、さらには呼吸困難を引き起こすことがあります。
・クリスマスローズ
クリスマスローズも毒性があり、犬や猫が誤って摂取すると嘔吐、下痢、腹痛、さらには心拍数の異常や痙攣を引き起こすことがあります。特に根や茎が危険です。
愛犬や愛猫が誤って有害なものを飲み込んでしまった場合、どのような症状が現れるのでしょうか。誤飲誤食の影響は、摂取したものの種類や量、そして犬や猫の体格や健康状態によって異なります。
以下に、誤飲誤食をした際に見られる代表的な症状を紹介します。
・嘔吐・下痢
・食欲不振
・元気消失
・腹痛
・よだれの過多
・便秘
・血便・血尿
・呼吸困難
・ぐったりしている
これらの症状が見られた場合、飼い主様は冷静に対処し、速やかに動物病院に連絡してください。
大切な愛犬や愛猫が誤飲誤食をしてしまった場合、飼い主様は焦らずに冷静に対応することが非常に重要です。適切な対処をすることで、愛犬や愛猫の命を守ることができます。
まず、愛犬や愛猫がいつ、何を、どれくらい飲み込んだのかを確認しましょう。もし、食べたものや量が分かる場合は、それを写真に撮っておくと獣医師の診断に役立ちます。
状況を確認したら速やかに動物病院に連絡を取り、以下の情報を伝えましょう。
・誤飲誤食したものの種類と量
・愛犬や愛猫の現在の健康状態(嘔吐、下痢、元気消失など)
・誤飲誤食が起こった時間
獣医師にアドバイスを受けることで、適切な対処方法を教えてもらえます。
インターネットなどで見られる「催吐処置」や「家庭での応急処置」は、獣医師の指示がない限り絶対に行わないでください。誤った処置は、かえって状態を悪化させる可能性があります。
動物病院に連れて行くまでの間は愛犬や愛猫を安静にさせ、無理に動かさないようにしましょう。特に、尖ったものや毒性の強いものを誤飲した場合、安静にすることが重要です。
動物病院に電話した際に、獣医師から応急処置のアドバイスを受けることがあります。その際は指示に従い、慎重に対応してください。
愛犬や愛猫を速やかに動物病院に連れて行きましょう。時間が経過するほど、症状が悪化する可能性があるため、早めの受診が重要です。
愛犬や愛猫が誤飲誤食をしてしまった場合、動物病院では以下のような診察と処置が行われます。
・身体検査
体温、心拍数、呼吸状態などを確認し、誤飲誤食の影響を評価します。
・レントゲン検査、超音波検査
異物が体内にあるかどうかを確認するために、レントゲンや超音波検査が行われます。これにより、異物の位置や大きさ、種類を特定することができます。
・催吐処置
異物が胃にあり、吐き出すことが可能な場合は催吐処置が行われます。獣医師の指示のもとで、安全に異物を吐き出させるための薬が使用されます。ただし、尖った異物や毒性の強いものの場合は、この処置は避けられることがあります。
・内視鏡による異物回収
催吐処置で異物を取り出せない場合、内視鏡を使って異物を回収することがあります。内視鏡は体内にカメラを挿入し直接異物を取り出すための器具です。
これにより、外科手術を避けることができます。
・開腹手術
異物が腸にまで入り込み、内視鏡で取り出せない場合は開腹手術が必要となります。手術では、異物を取り除くと同時に損傷した部分の修復も行われます。術後の回復には時間がかかる場合がありますが、適切な処置により完全に回復することが期待できます。
・輸液療法・胃洗浄
毒性のある食べ物や植物を摂取した場合、輸液療法や胃洗浄が行われることがあります。輸液療法では、点滴を使って体内の毒素を排出し、体液のバランスを保ちます。胃洗浄は、胃の中の有害物質を洗い流すための処置です。
処置後も犬や猫の状態を継続的にモニタリングします。特に毒性の強いものを摂取した場合、数日間の入院が必要になることがあります。
愛犬や愛猫が安全に暮らせるよう、日常生活で気を付けるべきポイントを知っておくことが大切です。誤飲誤食を防ぐためには、以下のような点に気をつけましょう。
愛犬や愛猫にとって有害な食材は、冷蔵庫や密閉容器にしっかりと保管しましょう。食卓やキッチンカウンターに放置せず、ゴミ箱にも蓋をして、誤って食べてしまうリスクを避けることが大切です。
また、犬や猫の食事は専用のフードを与え、人間の食べ物は与えないようにしましょう。テーブルからのつまみ食いや、おやつとして人間の食べ物を与えることは避け、健康を守りましょう。
家の中にある小物(ボタン、糸、ヘアゴムなど)は、愛犬や愛猫の手の届かない場所に保管しましょう。特に遊び好きな子たちは、小物を口に入れやすいので、こまめに片付ける習慣をつけましょう。
犬や猫にとって毒性のある植物を家に置かないようにしましょう。観葉植物を購入する際には、毒性の有無を確認し、安全な植物を選びましょう。
洗剤や薬品は愛犬や愛猫が触れないように、しっかりと閉めた状態で高い場所や戸棚に保管しましょう。液体洗剤やカプセル型の洗剤は特に注意が必要です。
特に子犬や子猫の場合、好奇心旺盛で何でも口に入れてしまうことがあります。目を離さず、常に安全な環境で遊ばせるよう心掛けましょう。
万が一の時に備えて、動物病院の連絡先を手元に置いておき、緊急時の対応方法を家族で共有しておくことが重要です。迅速な対応が、愛犬や愛猫の命を守ることに繋がります。
誤飲誤食は、犬や猫にとって非常に危険な事故であり、飼い主様の注意と適切な対策が必要です。毒性の強い食材や異物、植物のリスクを理解し、日常生活でこれらを避ける工夫をすることが重要です。
もしも誤飲誤食が起こった場合は、冷静に状況を把握し、速やかに動物病院に連絡して適切な処置を受けることが愛犬や愛猫の命を守るために欠かせません。
犬と猫の眼のことなら新潟県新潟市の動物病院 くまちゃん動物病院