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犬と猫の角膜ジストロフィー|黒目部分に白い斑点状の濁りが現れる2024.06.17

角膜ジストロフィーは、角膜に白い斑点が現れることが特徴です。特定の犬種に多く見られる遺伝性の病気とされていますが、猫では非常に稀です。

視力に大きな影響を与えることは少ないものの、場合によっては角膜浮腫や角膜潰瘍を引き起こし、痛みや炎症を伴うことがあります。

 

今回は、犬と猫の角膜ジストロフィーについて、原因や症状、治療方法、予防方法などを詳しく解説します。

 

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

【原因】

角膜ジストロフィーは、角膜の黒目部分に白い斑点状の濁りが現れる病気です。この濁りは、コレステロールやリン脂質、中性脂肪が角膜に沈着することによって引き起こされます。

 

現在のところ、なぜこれらの物質が角膜に沈着するのかは明確には解明されていませんが、犬では以下の犬種によく見られるため、遺伝性の要因があると考えられています。

 

・トイ・プードル

・ミニチュア・シュナウザー

・ビーグル

・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル

・シェットランド・シープドッグ

ボストンテリア

・エアデール・テリア など

 

しかし、これらの犬種以外でも発生することがあり、猫でも稀に発症することがあります。

 

【症状】

角膜ジストロフィーの主な症状は、角膜の中心部に現れる白い斑点です。この斑点は楕円形や円形をしており、片目だけに現れる場合もあれば、両目に同時に現れることもあります。

 

通常、この病気は角膜の外側(上皮や実質)に影響を与え、痛みや違和感、視覚障害を引き起こすことはほとんどありません。しかし、斑点が大きくなると視界を妨げることがあり、その結果、犬や猫が目をこする仕草を見せることがあります。

 

角膜の内側(内皮)に病変が現れる場合は角膜浮腫が発生し、さらに角膜潰瘍を併発することがあります。この場合、痛みや炎症が伴い、涙が多く出たり、目をしょぼつかせたりする症状が見られます。また、視覚障害が進行すると、歩行時に物にぶつかることが増えることがあります。

 

角膜潰瘍についてはこちらで解説しています

 

【診断方法】

角膜ジストロフィーは特定の犬種に多く見られるため、犬種によってこの病気が疑われることもあります。この病気を正確に診断するためには、角膜浮腫や角膜潰瘍、白内障など他の病気との鑑別が必要です。そのため、各種眼科検査が行われます。

 

具体的には、スリットランプ検査、眼圧検査、フルオレセイン染色検査を通じて、角膜の状態を詳しく確認します。さらに、血液検査やホルモン検査も行うことで、全身の健康状態をチェックし、他の疾患の有無も調べることができます。

 

眼科検査についてはこちらで詳しく解説しています

 

【治療方法】

現時点では、角膜ジストロフィーに対する確立された治療法はありません。症状が軽度であり、他の目の病気を併発していない場合は、治療を行わずに経過観察をすることが一般的です。しかし、必要に応じて点眼薬やサプリメントが使用されることがあります。

 

角膜浮腫や角膜潰瘍を併発している場合は、これらの症状に対して積極的な治療が行われます。具体的には、抗炎症薬や抗生物質の点眼薬が用いられ、必要に応じて角膜を保護する処置が施されます。

 

さらに、病気が重症化したり視力障害が進行したりした場合には、外科手術が検討されることもあります。手術によって角膜の異常部分を除去し、視力を回復させることを目指します。

 

【予防法やご家庭での注意点】

角膜ジストロフィーは遺伝性の病気と考えられているため、残念ながら予防法はありませんが、目の健康を維持するための注意点があります。

 

愛犬や愛猫の目の異常を早期に発見するためには、定期的な健康チェックを行うことが重要です。目が白く濁る症状は、角膜ジストロフィー以外にも様々な原因が考えられますので、具体的な症状に合わせた対応が必要となります。異常が見られた場合は、早めに動物病院を受診してください。

 

【まとめ】

角膜ジストロフィーは、犬や猫に見られる角膜の病気で、遺伝的要因が大きく関与しているとされています。視力に大きな影響を与えることは少ないものの、場合によっては痛みや炎症を伴うこともあります。現時点では確立された治療法はありませんが、症状に応じた適切な対応が重要です。

目の異常を早期に発見し、適切な治療を受けることで、愛犬や愛猫の生活の質を維持することができます。

 

■当院の眼科に関連する病気はこちらで解説しています。

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