くまちゃん動物病院からのお知らせNEWS

犬と猫のドライアイ(乾性角結膜炎)|目やにが止まらない原因2024.08.27

愛犬や愛猫の目に異常を感じたことはありませんか?

「なんだか目が乾いているみたい」「目やにがいつもより多い」といった症状を見逃してはいけません。実は、ドライアイは犬や猫にも起こる病気です。

 

ドライアイは乾性角結膜炎とも呼ばれ、目の表面が乾燥して角膜や結膜に炎症を引き起こします。そのまま放置すると、視力に影響を与えたり、痛みを伴ったりすることがありますので、注意が必要です。

 

今回は、犬と猫のドライアイの症状や原因、診断方法、治療法、そして日常生活での予防や注意点について詳しく解説します。

 

■目次
1.症状
2.原因
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

【症状】

ドライアイ(乾性角結膜炎)の初期症状は見逃されがちですが、早期発見が非常に重要です。

以下の症状に気をつけてください。

 

目やにの増加:目の周りにどろどろとした目やにが付着しやすくなります。

充血や目のかゆみ:頻繁に目をこする仕草をするようになったら注意が必要です。

目をしょぼつかせる、光を避ける

 

さらに、角膜が乾燥して傷がつきやすくなり、感染症のリスクが高まります。重症化すると、角膜に色素が沈着して黒い点々が現れることがあり、視力障害が生じる可能性もあります。

 

最悪の場合、失明に至ることもあるため、症状が見られたら早めに動物病院で診察を受けることが大切です。

 

角膜が傷ついてしまう「角膜潰瘍」についてはこちらで解説しています

 

【原因】

ドライアイには、さまざまな原因が考えられます。

 

まず、免疫系の異常が原因となる場合があります。免疫系の細胞が涙腺を攻撃し、涙の分泌が減少することでドライアイが発生します。特に一部の犬種で見られることが多いです。

 

遺伝的要因や生まれつきのまぶたの構造異常も原因となります。例えば、まぶたが完全に閉じないことや、涙の質が悪いことなどが挙げられます。年齢を重ねることで涙の分泌が自然に減少することもあります。

 

また、環境要因や外傷もドライアイに関係しています。乾燥した気候や風が強い場所に長時間いること、目に異物が入ることなどが引き金になることがあります。

 

さらに、一部の薬の副作用としてドライアイが起こることがあります。

 

これらの原因が複数重なることも多いため、日頃から目の健康に気をつけることが大切です。

特に以下の犬種はドライアイになりやすい傾向があり、注意が必要です。

 

・ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア

・アメリカン・コッカー・スパニエル

・キャバリア・キングチャールズ・スパニエル

・シー・ズー

・パグ など

 

【診断方法】

ドライアイを診断するためには、動物病院での適切な検査が欠かせません。最も一般的な方法はシルマーティアテストで、専用の試験紙をまぶたに挟んで涙の量を測定します。通常、試験紙に涙が染み込む量が15mm未満の場合、ドライアイが疑われます。

 

また、フルオロセイン染色試験もよく行われ、フルオロセインという染料を使って角膜の状態を確認します。

 

角膜に傷があると染料がその部分に染み込み黄緑色に見えるため、角膜の損傷の有無や程度を詳しく調べることができます。

 

さらに、涙の質を調べる試験や、目の表面を詳しく観察する眼科用顕微鏡検査も行われることがあり、これらの検査を通じて目の状態を正確に把握し、適切な治療計画を立てることができます。

 

目の検査方法についてはこちらで解説しています

 

【治療方法】

ドライアイの治療は、原因や症状の程度に応じて異なりますが、一般的には以下のような方法が用いられます。

 

まず、涙の代わりになる人工涙液の点眼が基本で、目の表面を保湿し乾燥を防ぐために必要です。特にヒアルロン酸を含む人工涙液がよく使用されます。

 

また、感染症がある場合は抗生物質の点眼薬や内服薬が処方されることがあり、免疫介在性のドライアイの場合は免疫抑制剤を使用します。

 

これにより免疫系が涙腺を攻撃するのを抑制し、涙の分泌を促進します。

 

さらに、角膜に傷がある場合は角膜治療用の点眼薬も併用し、角膜の治癒を助けます。重症の場合は外科的処置が検討されることもありますが、これは非常に稀なケースです。

 

日常生活においても愛犬や愛猫の目のケアを続けることが大切で、定期的な点眼や目の周りの清潔を保つことで症状の悪化を防ぐことができます。

 

また、エリザベスカラーを使用して目をこすらないようにすることも一つの方法です。

 

【予防法やご家庭での注意点】

ドライアイ(乾性角結膜炎)を完全に予防することは難しいですが、早期発見と適切なケアがとても大切です。

 

まず、日常的に愛犬や愛猫の目の状態を観察する習慣をつけましょう。目やにや充血が見られた場合は早めに動物病院を受診することが重要で、症状が軽いうちに治療を始めることで重症化を防ぐことができます。

 

また、乾燥した環境を避けることも予防策の一つです。室内の湿度を適度に保つために加湿器を使用するなどして、愛犬や愛猫の目の乾燥を防ぎましょう。さらに、風が強い日やホコリが多い場所での散歩は控えましょう

 

目をこすることが習慣化してしまうと角膜に傷がつきやすくなるため、目をこすらないようにエリザベスカラーを使うことも検討してください。

さらに、定期的に目の周りを清潔に保つことも重要で、専用の眼洗浄剤や湿らせたガーゼを使って優しく目の周りを拭いてあげましょう。

 

最後に、動物病院での定期的な目の健康チェックも忘れずに行いましょう。定期検健診を受けることで、早期に異常を発見し、適切な治療を受けることができます。

 

【まとめ】

ドライアイ(乾性角結膜炎)は、犬や猫にとって非常に辛い症状を引き起こします。しかし、早期発見と適切な治療を行うことで、症状を管理し、愛犬や愛猫のQOL(生活の質)を維持することが可能です。

 

飼い主様が日常的に目の状態を観察し、異常があれば迅速に動物病院を訪れることが重要です。

 

■当院の眼科に関連する病気はこちらで解説しています

犬と猫の目の病気について|早期発見で大切な視力を守る!

犬と猫の角膜ジストロフィー|黒目部分に白い斑点状の濁りが現れる

犬のチェリーアイについて|目頭に赤い膨らみができる

犬のデスメ膜瘤について|治療をしないと失明のリスク

犬の眼瞼腫瘍について|良性が多いが20%は悪性

 

犬と猫の眼のことなら新潟県新潟市の動物病院 くまちゃん動物病院

診察案内はこちらから

Copyright(c) くまちゃん動物病院 All Rights Reserved.

▲ページトップへ