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マイボーム腺はまぶたの縁にある分泌腺で、目の表面を保護するための油分を分泌しています。
このマイボーム腺に炎症が起こるとマイボーム腺炎と呼ばれ、まぶたの縁にニキビのような「できもの」が現れます。犬や猫では比較的一般的なまぶたのトラブルです。
今回は犬や猫のマイボーム腺炎について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。
■目次
1.マイボーム腺炎とは?
2.症状
3.原因
4.自宅でできるマイボーム腺炎のケア
5.治療方法
6.予防法やご家庭での注意点
7.まとめ
マイボーム腺は、目の表面を保護するために油分を分泌する重要な役割を担っています。このマイボーム腺に炎症が起こることをマイボーム腺炎と呼びます。
マイボーム腺炎は炎症の原因により、麦粒腫と霰粒腫の2種類に分けられます。
麦粒腫は、皮膚の常在菌である黄色ブドウ球菌が原因で起こる急性の炎症です。人間の「ものもらい」もこれにあたります。突然まぶたが腫れたり、痛みを感じたりします。
霰粒腫は、マイボーム腺の導管(分泌物の通り道)が詰まることで起こる慢性的な炎症です。時間をかけて徐々に発症し、痛みはほとんどありませんが、まぶたにしこりができるのが特徴です。
マイボーム腺炎は、まぶたの縁にニキビのようなできものができます。これは、麦粒腫でも霰粒腫でも共通の症状です。
目に影響を及ぼさない場合もありますが、できものの大きさや場所によっては目を刺激し、涙や目やにが増えることもあります。
また、まぶたに当たる違和感から目を引っ掻いてしまい、目に傷がつくと目やにや涙がさらに増え、充血や目の表面が白っぽくなることもあります。
さらに、麦粒腫は感染性の急性炎症のため、できもの自体が熱を持ち、赤みや腫れ、痛みを伴うことがあります。腫れは一部分だけの場合もあれば、まぶた全体が腫れることもあります。
一方、霰粒腫には痛みはなく、白くてかたいニキビのようなものができます。
マイボーム腺炎は犬種・猫種や年齢に関係なく発生しますが、特に免疫力が安定していない子犬や子猫、免疫力が低下するシニア犬・猫では麦粒腫が発生しやすい傾向にあります。
また、長毛種やアレルギーのある犬や猫、基礎疾患を持つ犬や猫でも発生しやすいとされています。
さらに、高齢になるとマイボーム腺が腫瘍化する「マイボーム腺腫」が発生することがあり、これが霰粒腫の原因となることもあります。
マイボーム腺炎のケアとして、自宅で以下の方法を試してみてください。
・目を清潔に保つ
目の周りが汚れている場合は、綺麗なガーゼや柔らかい布で優しく拭き取りましょう。
・トリミング
目の周りの毛が目に入るようであれば、目に入らないようにトリミングしてもらいましょう。これにより、目の刺激を減らすことができます。
・温める
人肌程度に温めた清潔なタオルを目の周りに当てると、マイボーム腺の詰まりが少し緩和されることがあります。ただし、犬や猫が嫌がる場合は無理に行わず、他の方法を試してください。
これらのケアを行う際には、犬や猫の様子をよく観察し、嫌がる場合は無理をしないことが大切です。詳しいケア方法については、獣医師にご相談ください。
麦粒腫と霰粒腫では、以下のように治療方法が異なります。
麦粒腫の場合、抗菌剤の目薬や軟膏、必要に応じて内服薬を使用して治療を行います。これにより感染を抑え、炎症を軽減させます。
霰粒腫の場合、詰まりを除去する必要があり、切開して詰まってかたまった分泌物を絞り出したり、マイボーム腺ごと導管を切除したりします。
手術後は二次感染を防ぐために、抗菌剤の目薬や軟膏、内服薬を用いた治療を行います。また、犬や猫が術後の傷口を触らないように、エリザベスカラーの装着が必要になることもあります。
マイボーム腺炎の明確な予防法はありませんが、まぶたの縁にできものができるため、比較的見つけやすいでしょう。
すぐに命に関わるものではありませんが、早めに治療を始めることで治りも早くなります。日頃から愛犬や愛猫の目の周りをよく観察し、異常が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。
マイボーム腺炎はまぶたの縁にできものができる病気で、特に子犬や子猫、シニア犬や猫、アレルギーや基礎疾患のある犬や猫に多く見られます。
この病気は、まぶたの縁にニキビのようなものができる以外には異常が見られない場合もあります。しかし、放置すると目にダメージを与え、最悪の場合失明に至ることもありますので、気づいたら早めに治療を受けることが大切です。
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