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冬が訪れると、愛犬や愛猫に「尿路結石症」が増加しやすくなることをご存じでしょうか?
寒さで水を飲む量が減ると、尿の濃縮や排尿回数の減少が起き、尿路に結石が形成されやすくなります。
この病気は放置すると命に関わる重篤な事態を引き起こすこともあるため、冬場の予防と早期発見が特に重要です。
今回は、尿路結石症の症状や予防法について詳しく解説し、冬場に飼い主様が気をつけるべきポイントをお伝えします。
■目次
1.尿路結石症とは?
2.尿路結石症の症状
3.尿路結石症の原因
4.治療法
5.なぜ冬は特に要注意なの?
6.尿路結石症の予防法と対策
7.まとめ
尿路結石症は、腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿路内にミネラルが固まり、結石となって詰まる病気です。
この状態になると尿の流れが滞り、痛みや不快感をもたらします。さらに感染症や腎不全といった深刻な症状に発展するリスクもあります。
犬や猫に多く見られる尿路結石には、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石の2種類が特に一般的です。
<ストルバイト結石>
リン酸アンモニウムマグネシウムからできており、尿がアルカリ性に傾いた環境で形成されやすいです。食事療法(pHを酸性に保つ食事)や結石を溶解するために食事療法を行うことに加えて、細菌感染がある場合には抗生物質を使用することもあります。
<シュウ酸カルシウム結石>
カルシウムとシュウ酸が結合してできる結石で、尿が酸性に傾いたときにできやすいです。一度形成されると食事療法で溶解することが難しく、大きな場合は手術や特殊な器具を使って取り除く必要があることもあります。
尿路結石症になると、愛犬や愛猫に以下のような症状が見られることがあります。
・頻尿や排尿時の痛み
排尿時に苦しそうな様子を見せ、トイレの回数が増えることがあります。
・血尿
尿に血が混じり、赤く見えることがあります。
・尿量の減少または排尿困難
尿が出にくくなる場合や、全く出なくなることもあります。これが続くと、腎不全などの重篤な状態を招くこともあります。
・元気消失や食欲不振
体調が悪化して元気がなくなり、食欲が低下する場合があります。急性の腎不全になると嘔吐を伴うこともあります。
これらの症状が見られた際は、速やかに動物病院で診察を受けることが大切です。特に雄猫は尿道が細く、閉塞が起きやすいため早期発見が重要です。
尿路結石症の主な原因は、尿に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが過剰に蓄積することです。以下の要因が、このミネラルの過剰蓄積のリスクを高めるとされています。
・水分摂取不足
水を飲む量が減ると、尿が濃縮されやすくなります。
・偏った食事
ミネラル分が多いフードや塩分が高い食事は、結石形成のリスクを増加させます。
・品種や体質
特定の猫種(アメリカン・ショートヘアーやスコティッシュ・フォールドなど)は尿路結石症を発症しやすい傾向があります。
尿路結石症が疑われる場合、早期発見と早期治療が何より重要です。治療方法は以下の通りです。
<薬物療法>
小さな結石の場合、皮下点滴での水分補給や抗菌薬の投与(細菌感染がある場合)を行うことで、結石の縮小や感染防止が期待できます。これにより、自然排出が促されるケースもあります。
<食事療法>
特定のミネラルを抑えた専用の療法食を使用し、結石の成長を防いだり、溶解を促したりします。
<外科的処置>
大きな結石や尿路の閉塞が緊急の状況を引き起こしている場合、薬物療法や食事療法だけでは改善が難しいことがあります。このような場合には、結石を物理的に除去する手術が必要となることもあります。
冬場は寒さや乾燥が原因で愛犬や愛猫の水分摂取量や活動量が低下し、尿路結石症のリスクが高まります。以下の理由から、冬には特に注意が必要です。
・水分摂取量の減少
冬の寒さが原因で、犬や猫は水を飲む量が減る傾向にあります。これにより尿が濃縮され、ミネラルが結晶化しやすくなり、結石のリスクが高まります。
対策:冷たい水よりも飲みやすい温度のぬるま湯を用意すると、冬場でも犬や猫が水を飲みやすくなります。また、水飲み場を増やし、家のあちこちで気軽に水を飲める環境を整えるのも効果的です。
・室内の乾燥
暖房で乾燥した室内に長時間いると、飼い主様が気づかないうちに脱水が進む場合があります。冬場は外気が乾燥していることに加え、暖房の影響で湿度が下がりやすく、さらに水分摂取不足が進みがちです。
対策:加湿器を使って室内の湿度を保つことで、乾燥による脱水を防ぐことができます。適度な湿度は、犬や猫の健康維持にも役立ちます。
・運動量の低下
寒さの影響で犬や猫の活動量が減ると体内の水分循環が悪くなり、尿中のミネラルが尿路に留まりやすくなります。
対策:キャットタワーやおもちゃを使って室内でも体を動かせるようにし、遊びを通じて適度な運動を促しましょう。運動によって体内の循環が良くなり、尿路結石の予防に役立ちます。
尿路結石症は日常の予防がとても重要です。特に水分摂取を促進することが予防の鍵となります。
それ以外にも以下の方法で、愛犬や愛猫の尿路結石症を防ぐための工夫をしてみましょう。
・バランスの良い食事を心がける
獣医師に相談し、尿のpH値やミネラルバランスに配慮した療法食やフードを取り入れるのも効果的です。適切な食事は、結石形成のリスクを低減します。
・ストレスの軽減
環境の変化や新しいペットの加入など、ストレスがかかる状況では注意が必要です。安心できる環境を整えることで、再発予防にもつながります。
・定期的な健康チェック
尿路結石症は再発することが多いため、一度発症した場合は定期的に尿検査やエコー検査を行い、結石の形成や進行を早期に確認することが大切です。
愛犬や愛猫の尿路結石症は、放置すると命に関わる深刻な病気へと進行する恐れがあります。しかし、日常のケアと定期的な健康チェックを行うことで、予防や早期発見が可能です。
特に冬場は水分摂取が減少しがちなため、トイレの様子や健康状態をよく観察することが大切です。少しでも異変を感じたら、すぐに動物病院へご相談ください。
毎日の生活の中でできる小さな工夫や配慮が、愛犬や愛猫の健康と快適な生活を支え、病気のリスクを軽減する鍵となります。
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