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犬と猫の心臓病を支える食事管理|循環器疾患に適したフードと管理のポイント2025.06.03

犬や猫の心臓病(循環器疾患)には、生まれつきの「先天性」のものと、加齢や生活環境などが影響して発症する「後天性」のものがあります。
また、特定の犬種や猫種には、遺伝的に心臓病を発症しやすい傾向があることも知られています。

心臓病の治療には、手術や薬による治療などさまざまな方法がありますが、その中でも、日々の「食事管理」は飼い主様ができる大切なケアのひとつです。

今回は、循環器疾患に対する食事療法の考え方や具体的なポイントについて解説します。

■目次
1.犬と猫の循環器疾患の特徴
2.食事管理の重要性
3.犬と猫それぞれの循環器疾患に適した食事内容と注意点
4.食事管理を始めるときの注意点
5.循環器疾患と腎臓病を併発した場合の食事管理
6.まとめ

 

【犬と猫の循環器疾患の特徴】

犬や猫の心臓病(循環器疾患)は、動物種によって発症しやすい病気の種類が異なります。
ここでは、犬と猫に多く見られる代表的な心臓病と、その特徴についてご紹介します。

<僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)>
これは犬に最も多く見られる心臓病のひとつで、特に小型犬やシニア犬によく発症します。
心臓には、血液が逆流しないように働く「弁」がありますが、僧帽弁閉鎖不全症ではこの弁が変性してうまく閉じなくなり、心臓内で血液が逆流することで心臓に負担がかかります。

主な症状
・初期:咳が出る(特に夜間や朝方)
・進行時:疲れやすくなる、呼吸が荒くなる

診断のきっかけ
動物病院での聴診によって心雑音が確認されることが多いです。

僧帽弁閉鎖不全症についてさらに詳しく知りたい方はこちら

 

<肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)>
肥大型心筋症は、猫で比較的よく見られる心臓病です。特に中高齢の猫や、一部の品種(例:メインクーン、ラグドール)で遺伝的に発症しやすいとされています。

この病気は、左心室の筋肉が異常に厚くなることで心臓内部が狭くなり、十分な量の血液を全身に送り出せなくなります。

主な症状
・初期:ほとんど無症状で気づきにくい
・進行時:呼吸困難(肺水腫の発症)後ろ足の麻痺(血栓塞栓症)など

肺水腫についてはこちらから

注意点
急に倒れる、呼吸が苦しそうといった症状が現れた場合、緊急性が高く命に関わることもあります。

 心筋症についてさらに詳しく知りたい方はこちら

 

【食事管理の重要性】

心臓病はその進行ステージや体の状態によって、必要とされる栄養素や制限すべき成分が異なります
そのため、適切な食事管理は、症状の緩和や病気の進行を遅らせる上で非常に重要です。

例えば、塩分(ナトリウム)を控えることで心臓への負担を軽減し、特定の栄養素(タウリン、オメガ-3脂肪酸など)を補うことで心機能のサポートを期待できることがあります。

ただし、すべての心臓病に一律の食事療法が適しているわけではないため、個々の状態に応じた対応が必要です。
そのためにも、かかりつけの獣医師による定期的な診察と病態評価を受け、現在の状態に合った食事管理を継続していくことが大切です。

 

【犬と猫それぞれの循環器疾患に適した食事内容と注意】

心臓病の食事療法は、犬と猫ではポイントが少し異なります。
それぞれの動物の体質や病態に合わせた内容を意識することで、心臓への負担をやわらげ、病気の進行を緩やかにすることが期待できます。

 

<犬の循環器疾患に適した食事内容と注意点>
犬でよく見られる僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病では、特に塩分(ナトリウム)の制限が重要です。
塩分が過剰になると血圧の上昇を招き、心臓の負担を大きくするため、低塩分(低ナトリウム)の食事を心がけましょう。

特に人間の食事は犬にとって過剰な塩分が含まれていることが多く、特に注意が必要です。
「少しだけなら」と思って与えた食事が、心臓に負担をかけることもあるため、愛犬には専用のフードを与えるようにしましょう。

 

<猫の循環器疾患に適した食事内容と注意点>
猫で多く見られる肥大型心筋症に対しても、低塩分の食事が基本となります。加えて、猫の場合は「タウリン」というアミノ酸の摂取が非常に重要です。

タウリンは、心臓の収縮力を維持し、正常な働きを支える栄養素です。猫は体内でタウリンを十分に合成できないため、食事からの摂取が欠かせません。

 

【食事管理を始めるときの注意点】

愛犬・愛猫が心臓病と診断された場合、自己判断でフードを変えるのではなく、かかりつけの獣医師に必ず相談しましょう。

また、循環器疾患と診断された後、食事を切り替える際は急に変更せず、徐々に新しい食事の割合を増やしながら、1週間ほど時間をかけて移行していくことが重要です。急に食事を変更すると、下痢などの体調不良を引き起こす可能性があるため、注意しましょう。

食事管理は病態のステージや体調に合わせて細かく調整が必要なため、獣医師の指導のもとで療法食を選ぶこと、市販フードを使う場合は、成分表示をしっかり確認することがとても重要です。

 

<フード選びで確認したいポイント>
低塩分(低ナトリウムであること
タウリン、L-カルニチンなど、心臓機能をサポートする栄養素が含まれていること
ビタミン・ミネラルのバランスが適切であること

愛犬や愛猫に合った栄養を見極めながら、獣医師と一緒に最適な食事管理を続けていきましょう。

 

【循環器疾患と腎臓病を併発した場合の食事管理】

循環器疾患(心臓病)と腎臓病を同時に抱えるケースは、特に高齢の犬や猫に多く見られます
それぞれの病気に対応する栄養管理が異なるため、より慎重でバランスの取れた食事管理が必要になります。

この2つの病気を併発すると、ナトリウム(塩分)やリンの排出機能が低下するため、これらの摂取を控えることが非常に重要です。
さらに、良質なタンパク質を適量摂取することや、カリウムの調整など、複数の栄養素のバランスを考えた食事が必要になります。

こうした複雑なケースでは、かかりつけの獣医師や栄養の専門家と相談しながら、体調や病態に合わせた食事プランを立てることが大切です。

また、心臓病と腎臓病を併発している場合は、症状の進行速度や現れ方に個体差が大きいため、定期的な血液検査や健康チェックを行い、常に状態を把握しておくことが欠かせません。

 

【まとめ】

心臓病に合わせた適切な食事管理を行うことで、愛犬・愛猫の症状の緩和や生活の質の向上が期待できます。
愛犬や愛猫に合った栄養バランスを見極めるには、かかりつけの獣医師による定期的な検診と、病態の変化に応じた見直しがとても大切です。

毎日の食事が、心臓の健康を支える大きなサポートとなります。 無理のない範囲でできることから始めていきましょう。

 

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